2016年4月から電力の小売全面自由化が認められ、電力会社を自分で選べるようになります。既存の電力会社に加え、異業種の企業も参入し電力自由化が活性化しようとしています。

一方で、海外では既に電力の自由化が始まっているのです。
海外の中でも特に積極的なのが欧米の国々です。

目次

欧州各国の電力自由化

欧州では、イギリスが世界に先駆けて電力自由化を開始しました。
1983年に部分的に自由化され、1999年には全面的に自由化されています。

また、同じ時期に地球温暖化問題や資源の枯渇から再生可能エネルギーを推進し、原子力発電も開発しています。

エコ意識が高いドイツでは1998年に電力自由化が始まりました。
しかし、原子力発電を廃止して再生可能エネルギーの使用へ大転換を図った影響もあり、自由化にも関わらず電気料金は上がり続けています。

フランスでは2000年から部分的に自由化され、全面自由化は2007年からです。発送電分離も実現されており、原発依存度が70パーセント以上と非常に高いことが特徴です。

アメリカにおける電力自由化

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アメリカでは州ごとに憲法や法律が異なっているため同時期に始まったわけではありませんが、1990年代の前半には電力の自由化が始まっています。
再生可能エネルギーの使用に積極的に取り組むだけでなく、バイオマス発電など新たな発電方法の研究にも力を入れています。

しかし、カリフォルニア州では2000年に電力危機が発生しています。
経済の好調によって電力の需要が増加し、発電が追いつかずに供給が途絶えてしまったのです。電力会社が破綻し、大規模な停電が頻発するなど大きな社会問題になりました。

海外の電力自由化から日本が学べること

日本で電力自由化が開始されるにあたり、メリットとして喧伝されているのが電気料金の低下です。多くの企業が参入し価格競争が起こることで価格が安くなるのです。

しかし、日本に先んじて電力自由化を果たしている海外諸国の実例を見ると、必ずしも電気料金が安くなっているわけではありません。
発電コストが上がれば電気料金も上がるため、再生可能エネルギーへの過度の依存や原発の是非が問われる状況になると、逆に電気料金が高くなってしまうこともあるのです。

また、一般企業が発電事業を行うと、安定した電気の供給が行われないことも考えられます。海外の事例を学び、電気を使用する一人一人が自由化について真剣に考えるべきなのです。