間もなく電力自由化が行われようとしている日本では電力市場に参入しようとしている企業のアピール競争が既に始まっています。
ただ電力自由化は歴史上日本が初めて行うことではなく、海外では既にいくつかの国が取り入れていることです。

メリットばかりではなくデメリットなどについても知るため、日本に先んじて電力自由化が行われている海外ではどういったことが行われていて、その結果どのようになったのかということを海外事例で確認してみましょう。

目次

アメリカの事例

海外事例としてまずチェックしたいのは世界第一位の経済大国であり、かつ日本ともゆかり深いアメリカの事例です。
アメリカで電力自由化について議論が始まったのは1980年代のことであり、日本より30年ほど早く自由化に取り組んでいました。

では実際に自由化が行われてみてどうだったかというと、まず経済の活性化ということではある程度の効果がありました。
ですが2000年の夏から2001年の冬にかけての間、カリフォルニア州では小売料金の凍結が義務付けられていたこともあって発電コスト増大による赤字経営が強いられる状況となり、電力会社が電力を売るほど赤字になる状態になります。

結果として電力供給は不足して輪番停電と大手電力会社の倒産が招かれ、それ以降自由化にはどの州も消極的な対応となりました。

韓国の事例

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続いて海外事例として取り上げるのは日本と経済的に近しい位置にある国、韓国の事例です。

韓国では1998年のアジア通貨危機を契機として国有企業の構造改革を行い、その一環として電力自由化にも取り組みました。

2001年には韓国電力公社の発電部門が分割された上で配電を担う電力会社の株式公開が行われる手はずとなっていましたが、しかし市場環境の悪化によって株式公開はできない状態になり、2004年にはついに配電部門の民営化の中止が決定、2010年には電力公社を再び韓国政府管理下に置くプランを発表しています。

従って韓国の事例では「電力自由化をしようとしたものの市場の悪化によって失敗した」という形であると言えます。

ドイツの事例

最後に取り上げるのはEUに所属する国家であるドイツの事例です。
ドイツは1998年に自由化を完成させたのですが、歴史的に東西に分かれていたドイツでは東西それぞれに必要十分な発電所や送電設備が整っていたため、現在ですと1000社以上の会社が電力供給を担うようになっています。

このことは多種多様な選択肢から選べるというメリットもあるのですが、同時に「1万以上のプランから一つを選ぶ」という極めて面倒な状況になったのは確認しておくべきポイントです。

中には複雑な料金プランを設けて顧客の判断を迷わせ、最終的に高くつくプランとの契約を迫る会社なども出てきていますから、プランの多様化も考えものです。