ドイツでは日本よりはるかに早い1998年に全面的に電力自由化を行いました。しかし消費者たちにとっては必ずしもメリットがあるわけではなく、かえって不信感を抱かれるようになりました。

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ドイツが電力自由化をして変わったこと

ドイツは元々地域ごとに電気を供給する会社がありました。

その電力会社はシュタットベルケで、電力自由化を行っても各地で合併や買収をすることで企業が創られたため、地域限定の1100ほどの電力会社とその他の会社、合わせて1万以上の選択肢ができました。

ベルリンやフランクフルトなどドイツの主要都市では、およそ100社の電力会社がサービスを提供しています。現在は通信分野など違う業種が参入することはありません。

消費者の動向と不信感

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2012年の段階で電力会社を変更したことがある世帯は28%で、その多くが新しいサービスから再びシュタットベルケに戻っています。

これは、新しく電気の販売に参入した会社が様々な問題を起こしたためです。
新しい電力会社の多くが1年間の料金を前払いさせたり、デポジットを要求したりします。前払いさせることで消費者は、1年間は電力会社を変更しようとは考えません。

しかしお金だけ取って倒産する事例が多発しました。電力自由化が始まった時は、通信事業の分野からもサービスを提供する動きがありました。

電気とガス、通信をセットで契約すれば費用が通常よりも安くなるなど、消費者にとって嬉しいキャンペーンを行いました。しかしこれらの会社は、前払いをさせて顧客をたくさん集めたのにも関わらず、倒産してしまいました。

消費者にとって電気を契約している会社が倒産するという事件は衝撃的で、新しく参入した会社は信用できないと認識するようになりました。

電力会社の比較サイト

消費者は何かを買ったり契約したりする時に、たくさんの複雑な選択肢があると、比較専門のサイトを参考にすることも多いです。しかしドイツでは比較サイトすら、信じられないのが現状です。

本来比較サイトは消費者に有利になるようにデメリットもきちんと紹介します。
一方、ドイツの比較サイトは電力会社が紹介料をたくさんくれることを利用して、消費者にとって不利益になりかねないキャンペーンを行う会社を勧めるなど、公平性に欠けています。

こうした状況を受けて、ドイツの消費者は電気料金が安くなるメリットよりも、新しい電力会社に騙されるというリスクを懸念して、電力自由化の恩恵を受けきれていません。