2015年6月17日、改正電気事業法が成立しました。
主な内容は、東京電力や関西電力などをはじめとする全国10のエリアで、独占的に電力を供給してきた一般電気事業者に対して発送電の分離を義務付けたのです。
発送電分離とは?
発送電分離とは、火力発電や源氏力発電、水力発電などの発電システムの会社と、発電された電力を送る送電システムを持つ会社に分離することを言います。
現在の電力システムは、発電システムと送電システムを一つの会社が保有管理しています。
電気事業法で、一般電気事業者と位置づけられている東京電力や関西電力など他10事業者は、発電と送電を一体管理することで、戦後の混乱期の電力需要をまかない安定した電力の供給を行ってきました。
しかし、夏場の昼間など電力需要のピークに合わせた設備投資により、国際的に見て高い電気料金であったことや、2011年の東日本大震災により電力不足が長期間続いたエリア独占による弊害をきっかけに、発送電分離の議論が高まったのです。
発送電分離までの経緯
日本では明治維新後から民間資本家による電気事業が開始され、多くの電気事業社が創設されました。
政党政治の失墜とその穴を埋めた軍部の台頭、日中戦争が泥沼化する中で電力管理法案が成立、同時に日本発送電株式会社が発足しました。
このとき、全国の発電施設や送電施設はすべて1つの会社に統合されたことになります。
戦後になると、電力再編により日本発送電株式会社が解体され、戦後の10エリア独占供給体制につながっていきます。
しかし、改正電気事業法に定められた発送電分離により、戦中から戦後にまで長く続いた発送電管理体制から、新しい一歩を踏みだしたことになります。
発送電分離を決定した改正電気事業法とは
発送電分離を決定した改正電気事業法とは、政府が掲げてきた電力システム改革の第三弾と位置づけられた法案のことです。その内容とは、3段階に分かれています。
2015年には東京電力や関西電力などの地域をまたいで電力融通を円滑にすすめる、16年4月からは電力小売を全面自由化する、20年には発送電分離を実施し20年以降に小売の料金規制を撤廃することです。
改正電気事業法案の成立により、2020年4月には、東京電力や関西電力など他の一般電気事業者は、発電部門と送電部門に完全に分離され、互いに経営内容や人事に干渉できなくなります。
電力供給の中枢を担う送電会社が独立すれば、新規発電事業者も送電線を利用しやすくなり、発電事業者同士の競争によって電力料金が安くなると期待されているのです。