日本は他国と比べると若干遅れて電力自由化に着手するようになったという特徴があります。
もっとも大規模に電力を使用する事業者においては20年ほど前から既に電力自由化が進められていたのですが、一般消費者にとっての自由化は2016年4月からのことです。
日本での導入に際してはさまざまな議論が重ねられましたから、その特徴の中には海外と比べて異なる点がいくつかあります。
目次
価格変動リスクの管理を重視した電力自由化
では日本が行う自由化の特徴としてはどういったものがあるのかというところで、まず最初に出てくるのが「リスク管理を重視している」ということです。
日本に先んじて電力自由化を実施した海外では、市場競争の過熱や発電コストの増大によっておもわしくない影響がもたらされるケースが多くありました。
特にイギリスでは自由な料金設定によって価格が高騰するなどの問題に繋がっています。
そのため日本では電力価格を判断を各社に委ねつつ、競争環境が起こる程度の規制をかけるとして制度を運用することになっています。
企業倒産リスクも管理する制度を導入する
加えて特徴となるのが企業の倒産リスクを考えた上で国が業界参入の審査を行うということです。
他国では参入の意思があり、それに向けて動いていればある程度どのような会社でも参入で来ましたが、日本では事前に国がその企業の経営状態などに関して審査を行います。
そこでもし今後倒産するリスクが高いと判断されれば許可は下りないのです。
特に2020年3月までは現在の電力会社の小売り部門に電力供給が義務付けられていますから少なくとも2020年3月までは企業が倒産したとしても電気が止まることはなく、万が一倒産したとしても地域の電力会社に引き継いで電力供給をする義務を与えていますから、企業倒産リスクに関してはある程度管理がされているとして考えられます。
今後の電力自由化が行く先
こうしたリスク管理が行われているのはまぎれもなく日本の電力自由化の特徴であると言えます。
ただしかし、こうした管理がされるということは他国と比べると自由化による市場競争の刺激効果が少なくなるということには注意が必要です。
実際のところこうした市場の自由化はある程度の段階まではリスクに比例してリターンが大きくなる傾向がありますので、日本がどこまでリスクを許容するのか、またどこまでリターンを得ようとするのかについて考えなくてはなりません。
今後制度に関してもさまざまな議論が重ねられていくことでしょうし、その中で精度が変化する可能性も高いです。
そのため今出ている情報だけで満足するのではなく、今後もしっかりと情報を収集して常に自分なりの判断を下すことは忘れないようにしましょう。