日本の電力発電の大きな特徴は、一般電気事業者、すなわち北海道、東北、東京、北陸、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄の合わせて10の電力会社が長い間独占的に発電も小売りも行ってきたということです。
しかしバブル経済が崩壊した後、電力会社の経営効率化の観点から電力自由化を求める動きが起こり、日本の電力発電は電力自由化に向けて大きく舵を切ることになりました。
新規参入の始まり
まず、1995年に一般電気事業者以外の企業が発電に参入することが可能になりました。
次いで2000年には,2000kW以上の大口の需要先に対して、新規参入の事業者が電力を小売りできるようになりました。
さらに、その2000kW以上という基準が2004年には500kW以上に、2005年には50kW以上にと順次引き下げられてゆきます。
その後、2011年の東日本大震災の発生が、発電や送電のあり方への関心を高め、電力自由化への追い風となりました。そしてついに2016年4月、kW数の基準が完全に撤廃されました。
一般家庭や商店などの小口の需要先に対しても、電力の小売りが自由にできるようになったのです。日本の電力発電が事実上ほぼ完全に自由化されたのです。
電力自由化で変わる事とはどんな事でしょう
ではそのような電力自由化によって何が変わるのでしょうか。
2016年3月まではたくさん電気を使う大きな企業などだけが、どの会社から電力を買うかを選ぶことができました。
しかし今では、一般家庭でも、電力をどこから買うのか自由に選べるようになったのです。
地域ごとの一般電気事業者以外にも電力の小売りを行っている会社はたくさんあり、それらの会社は消費者を獲得するために競争をすることになりました。
そのため各社はさまざまな電力料金のプランを打ち出してきています。私たちはその中から、私たちの事情に合う事業者を自由に選んで契約し、電力を買うことができます。
これからの電力自由化はどうなる
たとえば、電力とガス、あるいは電力と携帯電話といったセット割引プラン、使用時間帯別で料金が変わるプランといったものがあります。
また、地球環境に配慮したいという考えを持っている人は、再生可能エネルギーを主力として使っている事業者を選ぶといったことも可能になりました。
日本の電力発電が発電、小売り共に自由なものへと変わることで、私たち皆が主体的に、電力会社を選べるようになりました。そのことが各社の経営努力を促し、その努力が消費者の望むきめ細やかなサービスの提供へとつながってゆくのです。