アメリカはさまざまな面で日本と結びつきの強い国となっており、それゆえに学ぶべきことも非常に多くあります。

電力自由化という話題についてもこれは同じであり、特にアメリカは日本に先駆けて電力自由化を導入していたということをチェックする必要があります。

ここではこのアメリカで行われた電力自由化はどうだったのか、それは成功だったのか失敗だったのかということについてピックアップしていきます。

目次

アメリカで行われた電力自由化

まずはアメリカで行われた電力の自由化について経緯を含めて見ていきましょう。

自由化が必要だと言われるようになったのは1980年代のことであり、このころには米国経済の活性化ということで電力の自由化が効果的だと言う議論がされていました。

各州の自治権が非常に強いという特徴もあったため実際の導入は州の判断にゆだねられることになりましたが、実際に自由化を導入したのはワシントンD.C.と24の州です。

1996年から2000年にかけてこの動きは見られましたが、しかしその動きは2000年の夏から一気に停滞することになりました。

カリフォルニア州で起きた「電力危機」

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ではどうしてその動きが停滞することになったのか、その答えはカリフォルニア州にあります。

カリフォルニア州は1998年に自由化が実行され、そこでは「発電と販売の分離」と「大手電力会社に対して卸売市場からの電力調達を義務付ける」、そして「当面の電力価格は凍結する」の三つのルールが施行されました。

結果的に一番まずかったのは三つ目のルール、電力価格の凍結です。

これは市場の変化による電力価格の高騰を抑えるため消費者から求められたルールでしたが、これがあるため販売会社は自由に価格を変化させられないという状況になりました。

当初はこれでも上手くいっていたのですが、問題となったのが2000年夏の猛暑と天然ガスの高騰です。これによって発電コスト、つまり卸売価格の高騰と小売需要の増大が同時に発生してしまい、販売会社は値上げをしないと会社を続けられないのに電力を上げられないという事態に陥りました。

結果として電力供給は一気に不足し、大規模な輪番停電が2001年まで行われたのです。

アメリカの電力自由化は失敗だったのか

さて、このことから少なくともアメリカに置いては電力自由化は失敗だったという答えに行きつくことは非常に多いです。
実際カリフォルニア州では輪番停電が発生するほどの事態となりましたし、もし仮に自由化が無ければこうした事態になることは無かったでしょう。

ですが同時に、自由化を導入した州は導入していない州と比べて安い価格で電気を使用することができているというのも事実ではあります。

そのため完全に失敗だったと断言することはできないのですが、この「業績悪化による停電」というリスクが生じると言うことは一つの結果として日本も知っておかなくてはならないのです。