2015年6月に、エネルギー事業を規制する法令に含まれる電気事業法が改正されました。本改正で新たに規定されたことで、大きな項目が発送電分離に関する制度です。

その目的と具体的な改革についてご紹介します。

発送電分離改革は三段階で目的達成となる

今まで電力事業は、発電も送電も小売も兼業して同一事業者で行うことが可能でした。
それは長年つづけてきた電気事業者による独占的な環境を、自由かつ公平、平等な状態に変えることで活発な競争を実現するためです。

発送電分離は既存事業者に対して大きな打撃を与えることになりますが、エネルギー環境が切迫している本国において有効な解決策として考えられています。

一足飛びにできることではないため、改正は三段階で目的達成するように行われます。

電気事業者を一元管理と小売改革制度

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まずは、電気事業者を一元管理することです。これにより地域をまたいだ電力の融通を円滑に行うことができるようになりました。従来は電気事業者が各々で行ってきた運用計画を、一元管理するために電力広域的運営推進機関が設立されました。
災害や不測の事態によって電力不足が発生した場合には、余裕がある電力事業者から電力を融通してもらえるようになります。

次に小売改革制度です。2016年4月から電力小売が自由化されました。
従来、電気事業者が兼業で行ってきた小売を他の業種からも参入できるようになりました。これにより競争が活性化し、付加価値による差別が促進されて消費者が恩恵を受けられるようになります。

消費者は、自分の生活にあったサービスを提供できる電力小売業者を選ぶことができます。
電気料金を自由に変更できるわけではありませんが、各々事業者が提供しているサービスと併せることによりトータルでの優位点を示すことができます。

発送電分離改革の最後は2020年4月に発送電が分離される

併せて規制されている小売料金を撤廃することも計画されています。

改革がすべて終了すると電力事業が保有している独占性がなくなります。小売だけでなく送電事業や発電事業にも他業種から参入することができます。
さまざまな電力を発電できることになるため、自然環境エネルギーなどを有効活用することができるようになります。
また小売料金が自由化されることでさらに競争が加速され、消費者が恩恵を受ける環境が提供されます。

これら三段階の対応がすべてが完了することで発送電分離が掲げる目的が達成されます。計画は長期に及びますが、達成したあとはエネルギー環境に多種多様な選択肢が提供されます。