2015年6月17日の改正電気事業法により発送電分離が決定しました。
東京電力や関西電力など、全国10エリア電力会社が所有している発電システムと送電システムを分離されることになったのです。

と言っても、すぐに発送電分離されるわけではありません。

段階的に進められる発送電分離

改正電気事業法では、3段階に分けて電力自由化が進められます。

第1段階は、東京電力や関西電力などが地域をまたいだ電力融通を可能にする、2016年からは電力自由化により小新規参入業者が家庭や法人と電力供給契約を結べるようにします。

問題となる発送電分離を行うのは、東京五輪が開催される2020年になります。
発送電分離されると、発電所を有する発電会社と送電システムを有する送電会社に分かれ、互いに人事や経営に干渉しない完全な独立した企業として経営されます。

電力会社の取り組み

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改正電気事業法で最も影響を受ける電力会社はどのように取り組んでいるのでしょうか。

いち早く対応を表明したのが関西電力です。関西電力は改正電気事業法が成立後まもない2015年6月25日に発電・送配電・小売の各事業部門を再編しました。

首都圏を中心に電力を供給してきた東京電力は、電力自由化がはじまる2016年4月1日にあわせて、発送電分離を先取りする会社分割を実施しました。東京電力が取り組んでいるのが組織の再編です。
電力自由化以前では、東京電力株式会社には、一般管理部門、技術開発知的財産管理部門、水力・新エネルギー発電、グループ経営管理、原子力発電、2011年の東日本大震災による賠償・廃炉・除染・復興推進部門、小売電気事業等、一般送配電事業等、燃料・火力発電事業等の全9部門がありました。
2016年の4月からは、9部門のうち小売電気事業等部門を東京電力甲類電気事業分割準備株式会社へ移行、一般送配電事業等部門を東京電力送配電事業分割準備株式会社ヘ移行、燃料火力発電事業等部門を東京電力燃料・火力発電事業分割準備株式会社へそれぞれ移行し、分離後の準備を開始しました。

注目されている水力発電

関西電力では、CO2を出さないクリーンな水力発電が顧客獲得を期待できるため事業拡大に力を入れています。
さらに2017年4月から始まる都市ガス自由化に向けてガス営業部を新設し、電気とガスのセット販売に取り組んでいるのです。

発送電分離の影響を受ける各電力会社も、関西電力や東京電力の改革に追随することは確実です。
特に水力発電や都市ガス事業への参入することで、事業拡大を目指すことが予想されます。

2020年の発送電分離へ向けて、各電力会社の本格的に取り組みが始まっています。