既存の電力会社とは別に電力を小売りする会社として新たに登録されてきたのが新電力と呼ばれる会社たちです。

電力自由化に際して新たに電力を供給する役割を担う新電力は、電力自由化の主役と言っても過言ではない存在でしょう。
ではこの新電力事業者とはどういった特徴を持つ会社なのでしょうか。

目次

新電力事業者の定義

まずは特徴の前にその定義について見ていきましょう。
これは「既存の大手電力会社とは別の特定規模電気事業者のことである」として定義づけられています。

資源エネルギー庁の定義をさらに出すのであれば、ここに「50kW以上の需要家に対して電力供給を行う事業者」となってきますが、簡単に言ってしまえば東京電力などのようにかつてから電力供給を行っていた会社とは別に、新規に電力業界に参入してきた業者たちということになります。

ちなみにPower Producer and Supplierを略したPPSという単語も使われますが、示す内容は同じです。

これまでは工場や大規模なビルなどの一部が利用できるのみでしたが、2016年4月からは各家庭に対する小売りの全面自由化も実施されますからより身近な存在になっていくことでしょう。

新電力事業者の戦略とは

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しかしこれまで独占状態であった電力市場に参入するということは非常にリスクのあることです。
全く同じ商品を提供するだけですとこれまでの契約を継続すれば良いわけですから、手間をかけて新しく契約をする必要はないでしょう。

そのため新電力はシェアを奪い取るためにさまざまな戦略を打ち立ててきました。
価格を既存の電力会社よりも安い価格にして電気を提供するなどのことは最たる戦略であると言えます。

実際これによって2015年には業務分野で11%のシェアを獲得するに至り、市場の一割が既存電力会社からの乗り換えを果たしました。
戦略の工夫によって2020年には20%、つまり市場の1/5が乗り換えるとも予想されていますから、今後の動きはしっかり見守っていく必要があります。

低圧電力でも始まった契約の乗り換え

さて、新電力は先に述べた定義のもとで生まれ、同じく先に述べた戦略で成長をしてきたわけですが、2016年4月の高利全面解禁に先駆けてマンションなどの低圧電力では既に乗り換えが始まっています。

これはマンション一棟などの単位で一括で受電する、つまり一戸ずつの低圧契約では無く一棟単位の降圧契約に乗り換えるといった形で実現されてきたことです。
これによって電気代が2~3割安くなるほか、設備工事費を掛けても最終的にプラスになるという判断があってのことです。

こうした変化があることを考えると、やはり今後新電力はさらに躍進していく可能性が高いとして見ることが出来るでしょう。