ここ最近ニュースや新聞、また企業のチラシなどで非常によく取りざたされるようになったキーワードが「電力自由化」です。
現代社会で生活するに当たって電力は必要不可欠なものとなっていますが、これまでは各地方に存在する電力会社と契約して使用することがルールになっていました。
このルールを取り払うと市場の競争が刺激されるようになりますから、それによってサービス品質の向上や電力価格の引き下げと言ったメリットがあるとして注目されています。
ですが実際には電力自由化にはいくつかの課題もあるとして知っておかなくてはならないのです。今回は三つの課題、リスクについてピックアップしていきましょう。
目次
「競争刺激」によるリスク
まず取り上げるべきとなるのは自由化によるメリットを得るために必須の存在である競争刺激のリスクです。
今後市場が広く開放されることによってこれまで電力供給事業を担ってこなかった会社が市場に参入することになるのは確実ですが、競争の刺激は同時に利益を度外視した価格競争につながるリスクがあります。
仮に限界に近いところまで競争が激しくなると各社は「余剰在庫を減らして運営コストを引き下げる」として動く可能性が高いです。
そうなると電力需要の少しの変化によって電力不足が引き起こされ、生活に不便が生じるリスクがあります。
「企業倒産」によるリスク
次いでチェックするべきはそうした競争刺激によって企業が倒産するリスクです。
もしある電力会社が突然倒産をするということになると、その会社と契約している家庭にはある日突然電力が供給されなくなるということがあり得てしまいます。
もちろんそうしたことが無いようにフォロー制度の導入もすでに発表されていますが、倒産が起こると言うことは間違いなく経済には悪影響を及ぼします。
もし倒産が相次げば結局電力自由化に期待されていた競争刺激の効果は小さくなってしまい、最終的には大手数社が残るだけといった状況になりかねません。
そのため「気軽に電力市場に参入することができる」という状況そのものがリスクを持っているとして考える必要があります。
「災害」によるリスク
そして最後に、日本であるからこそ考えなくてはならないのが災害のリスク、特に地震災害や津波災害のリスクです。
東日本大震災によって東北地域の大停電やその後の電力不足などさまざまな被害が出たことは記憶に新しいことですが、電力自由化によって各企業が独自の運営で電力を供給するようになった場合、災害に対処するべき電力会社の数が増えます。
そうなれば当然災害復興にかけては時間がかかることになりますから、この災害への備えということも大きな課題であるとして考えなくてはならないのです。
市場原理に任せるということは大きなメリットとともに大きなリスクをもたらすことですから、これらの点は事前にしっかり確認しておく必要があります。