電気事業法の一部を改正する法律が施行されました。この改革は3つの段階を経て実施されます。

今回は、この3つの段階の具体的な説明と、医療業界との関係についてまとめました。

他電力事業者からの融通が可能に

まず第1弾は、災害時など緊急時に電力が不測して場合に、他の電力事業者から融通ができるようにすることです。

電力広域的運営推進機関を設立し、今まで事業者任せだった電力の事業計画を一元管理するようになりました。

小売の電力自由化

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そして第2弾として小売の電力自由化です。電力の小売は発送電を行う電気事業者が兼業として行ってきました。
それでは地域ごとに独占的な環境が続き、利用者にとって選択のない状態になります。結果として、電力の小売料金は電気事業者の考え次第になります。

平成24年には、被災者健康支援連絡協議会が「東京電力株式会社の電気料金値上げに関する要望」として医療関係分野での負担について意見しました。
被災者健康支援連絡協議会は、被災地の医療ニーズに対応するために日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、全国医学部長病院長会議、日本病院会、全日本病院協会の7団体によって設置されたものです。

医療機関は公定価格の中ですべての費用を賄うことになっています。よって、社会基盤である電力の値上げは費用負担の影響が大きくのしかかります。
切迫した経営をしている診療所もあり、看護協会を含む医療関係団体としても電力の値上げを安易に承諾することはできないと考えていました。要望では値上げの撤回を求めてきました。

しかし、独占的な状態であったために電力の値上げは行われることになります。
今般の改正により電力自由化が行われることで、そのような強引な値上げを行えなくなるという考え方もあります。

医療の現場では看護師が24時間体制で対応することになり、電気はなくてはならないインフラの一つです。
値上げによって節電を強いられた場合、医療の質を下げるわけにいかないことから真っ先に負担を被るのは常に現場にいる看護師たちになるはずです。

そのような状況を、看護協会としても現実の問題として扱うのは当然のことです。
電力自由化により電気事業者を選べるようになれば、競争する環境が整い、選択肢が増えることになります。

小売り料金の自由化

改革の第3弾では小売り料金の自由化も行われる予定があり、各小売り業者が価格競争を行う関係が構築されます。

看護協会が要望する社会基盤のコスト意識が変わる可能性も出てきました。
エネルギー環境が増えることで、医療現場のコスト削減が行われればより良い医療が提供されることも期待されます。