「電力小売りの全面自由化」によって、日本電力全体にどのような影響がもたらされるでしょうか。

経済産業省は市場規模として影響は大きいと主張していますが、デメリットやリスクに関しても影響は大きいと考えられます。

意外と知られていない今までの状況

電力自由化は2000年において大規模工場、デパート、オフィスビルなどの大口の顧客に対してなされており2005年までにはスーパーや中小ビルや小中規模工場でも自由化されています。つまり販売電力の60%がすでに電力自由化されています。

2016年の全面的自由化によって残りの4割、つまり家庭やコンビニなどの商店も、「低圧契約」として、電力会社を選べるようになりました。

経済産業省では、市場規模は約7.5兆円と試算し影響の大きいことを主張しています。

注目されているプランの一つにはこんなものも

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電力自由化、全面自由化の大きなメリットは、日本経済の供給面から言えば、東京電力、関西電力、九州電力、北海道電力と言った各地域の電力会社が独占的に供給する、7.5兆円分の電力が解放されることで家庭、商店を相手にしたビジネスチャンスが広がります。

例えば、まったくエネルギーとは関係のない企業が電気事業に参入し、競争するわけですから料金が安くなりサービスが多様になったりします。
通信会社の参入は、電気と電話、インターネットサービスを組み合わせた「セット割引」などがその例でしょう。

商社、通信、ガス、製紙、家電量販店、太陽光、風力などの発電会社が参入してくると日本電力全体が様変わりするように思われます。

また日本電力にとっての大きな事実としては、いままでの「低圧電力」の料金は、維持費、人件費、設備などを総合的に考えて国の許可を得なければなりませんでした。国の規制が大きくかかっていました。

ところが全面自由化で電気料金の設定が電気会社に自由に設定できるようになりました。経営努力の違いによって魅力ある料金設定やサービスをつくりだせることになりました。

他方、家庭や商店の需要面から見れば、独占的な電力会社から離れて、より安い電気を供給する電力会社に乗り換えることが可能になり電力を選ぶことが可能になりました。

料金メニューにも工夫がこらされ、夏の価格を高くしたり、それ以外の季節や時間帯で安くしたりできるために、日本電力全体で省エネが可能になるかもしれません。

自由化になる事でのメリットとデメリット

もちろん全面自由化はデメリットやリスクもあります。

例えば、原油価格が高くなると発電コストは一気に上がります。
今までのように国が規制して一定の料金になるのは異なり、発電事業者はコストがかかった分を料金に上乗せします。すると料金が大きく上がる可能性があります。

また電気はためることができないために、常に需要にあわせて発電しています。
そのため発電予備力がない会社だと、停電の可能性も発生してしまうということです。

電力自由化の影響は、メリットと言う点でもデメリットという点でも大きいと言うことができるでしょう。