電力自由化とは、消費者が発電している事業者を選べる制度のことです。これによって、安くて質の良い電気が使えるようになります。

しかし、電力自由化が完全に行われるには、電力会社の手にある送配電網を発電している事業者が低料金で自由に使えなくてはなりません。
将来的には、送配電網は独立した会社に移されて自由に使えるようになるようですが、今は途中段階にあります。

電力供給について

一般に電力供給に関しては、発電と送配電に分けて考えるのがわかりやすいでしょう。

発電は、水力発電所や火力発電所などで電気をつくることです。ただ、電気は、貯めておくのが極めて難しい性質がありますので、発電された電気は、高圧送電線によって、消費地に近いところまでは送電されます。
そして、いくつかの変電所などを経て、普通にみられる電線によって家庭や工場などへ配電されます。

今までの日本では、発電と送配電を地位独占会社である10の電力会社が一手に引き受けていました。そして今でも、送配電を手放してはいません。

卸売供給事業者(IPP)と電力自由化の関係について

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本来の電力自由化は、個人や会社などが発電業者を自由に選べることですが、電力会社とその周辺の力が強大なため中々自由化は進みませんでした。
ただ、1990年代になって自由化の最初の試みとして、電力の卸供給事業者の参入が法的に認められるようになりました。

これで、電力の卸供給事業者が発電した電力を、卸電力入札制度によって電力会社に売却できるようになったのでした。
これが卸供給事業者と電力会社の関係です。ただ、あくまでも卸電力の取引ですから、小売はできませんでした。

PPSと需要者の関係

PPSとは、契約電力が50kW以上の電力需要者にたいして、電力会社の配電網を使って電力を供給できる事業者のことをいいます。
このPPSが認められるようになったのは、卸供給事業者が認められてから10年経ってからです。

そして、2016年になって50kW以上という縛りがとけ、一般家庭でも発電事業者を自由に選べるようになりました。

ここまで見てきますとわかるように、卸供給事業者の電力供給への参入が認められたことは、電力自由化の最初の一歩だといえます。
ここまでくるのに20年以上かかりましたが、これは、電力会社と関連省庁の力がいかに大きかったかをあらわしています。
そして、自由化されたとはいっても電力料金があまり下がっていないという事実をどうみるかでしょう。