2016年4月に電力自由化が開始されるまでは、電力会社10社により、地域独占で電力供給がされてきました。
そして自由化に伴い、発電した電力を卸売供給する事業者が参入しています。それをIPP事業者と言います。

日本の電力供給の基礎知識について

戦前の電力供給は、第2次世界大戦中に設立された日本発送電と9つの配電会社によって行われていました。

しかし、これらの会社は敗戦後の過度経済集中排除法を適用されることになって、全国(当時、沖縄は日本に返還される前)を9つの地域に分けて、地域ごとに1つの民間電力会社が発電から送配電をまとめて扱うように変えられました。
これに、1972年の沖縄返還によって沖縄電力が加わり、10社の電力会社が地域独占の電力供給をする体勢ができあがりました。
なお、これら10の電力会社のことを一般電気事業者といいます。

また、歴史的な経緯から、電力会社によって供給される電力(交流)の周波数は50Hzまたは60Hzに分かれています。
50Hzの地域は、静岡の一部(東側)、山梨、埼玉、群馬、新潟以北で、60Hzの地域は、静岡の一部(西側)、長野、富山以西です。

IPP事業者の基礎知識について

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上記のように日本の電力供給は、電力会社10社によって独占されていました。
しかし、1990年代になりますと電力自由化の気運が高まり、1995年になりますと、電気事業法の改正が行われました。

この法改正によって、IPP事業者(独立系発電事業者)という発電した電力を卸供給できる事業者の新規参入が認められました。
具体的には、IPP事業者は自社の発電施設を持っていて、そこで発電した電力を電力会社に卸売をしています。

IPP事業者以外にも、発電した電力を電力会社に卸売しているところがあります。
これは、発電電力が200万kWを超える事業者が指定されていて、電源開発株式会社と日本原子力発電株式会社の2つがあります。こちらは、卸電気事業者と呼ばれていて、卸供給事業者であるIPP事業者とは区別されています。

卸電力の基礎知識について

卸電力とは、IPP事業者などと電力会社(一般電気事業者)あいだで売買する電力のことをいいます。
こうした卸電力の売買は、IPP事業者の新規参入が認められと同時に導入された卸電力入札制度の元で行われています。

この卸電力入札制度では多量の電力が取引されていて、電力会社側はIPP事業者に対して一定以上の電力を取引する確約をしています。
なお、このような制度によって、電力の価格が下がる効果がみられると共に、電力会社側にとっては、発電施設への投資を減らしても電力の安定供給ができるようになりました。