電力の自由化に伴い、卸電力市場の活性化のため先物取引の創設が計画されています。

スポット取引だけではリスクが大きい新規参入企業にとっては、なくてはならないものになるでしょう。

一般的な先物取引

ある商品の取引には、現物取引と先渡取引、及び先物取引という手法があります。
現物取引は、ある商品の受け渡しと同時に現金(手形、掛売り等のも含む)の授受が行われる取引のことで、お店での買い物を思い浮かべていただくとわかりやすいでしょう。

先渡取引は何かといいますと、特定の相手との商品の受け渡しと現金の授受に関して、将来のある時点で、それを実行するという一種の約束です。先渡取引が行われた時点では、商品や代金の移動はありませんが、価格は、その時に決めておきます。

先物取引は何かですが、先渡取引を一般化したものです。
取引できる商品を、取引所に上場するという方法がとられて、商品の受け渡しの期限が定められています。

これには、一定の証拠金と呼ばれる取引を担保するお金を取引所に預け入れることで、誰でもその時点での商品価格で(売買)取引に参加できるようにしたものです。すなわち、取引量を多くすることで、より合理的な商品価格を形成できることを目指しています。

卸電力市場について

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御電力市場とは電力供給業者が参加している取引所のようなものです。
いまのところ、この市場には、時間前市場とスポット市場、先渡市場があります。

時間前市場とスポット市場は、発電した電力を元に当日また翌日の売買を行う現物取引によく似たものです。先渡取引は、上記のように、スポット取引などより長期的な視点にたった取引です。

このような取引に足りないもののひとつが先物取引です。
電力の自由化に伴って、その取引量も多くなることから、スポット取引などのリスクヘッジが必要になりますが、それを担うのが、先渡より流動性の高い先物です。この他にも現物取引により近いリアルタイム市場の創設も計画されています。

先物取引は新規参入した電力会社のためにある

電力の売買では、1日24時間分の電気を取引するベースロードというものと、平日の08:00から18:00までの電気を取引する日中ロードというものがあります。これから創設されようとしている電力先物でもこの2つの取引ができるように計画されています。

このような先物取引は、流動性の高さから、新規に参入した業者にとっては、なくてはならないものとなります。現在のスポット取引だけではリスクが大きいからです。

1例をあげますと、2011年の福島の原発事故に際しては、スポット料金の高騰を恐れた東電によって、市場が閉鎖されたということがありました。
これは、一部参加者の思惑で市場が操作されるのは自由化に反するものですから、先物市場の創設は意味あるものでしょう。